エーザイ、「レンビマ(R)」と「キイトルーダ(R)」の併用療法による切除不能肝細胞がんおよび進行性腎細胞がんに対する臨床試験の解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会において発表

TOKYO, May 29, 2020 - (JCN Newswire) - エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役 CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)と Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米以外では MSD)は、このたび、エーザイ創製の経口マルチキナーゼ阻害剤「レンビマ(R)」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)と Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗 PD1 抗体「キイトルーダ(R)」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法による、全身投与歴のない切除不能肝細胞がん(116/KEYNOTE-524 試験)、および免疫チェックポイント阻害剤治療後に増悪した転移性淡明細胞型腎細胞がん(111/KEYNOTE-146 試験)を対象とした二つの臨床試験解析結果を5月29~31日に開催される「米国臨床腫瘍学会年次総会」(ASCO20 Virtual Scientific Program)において発表することをお知らせいたします。

Merck & Co, Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. Research Laboratories、Oncology Clinical Research の Vice President である Jonathan Cheng 博士は、「これらの試験における「キイトルーダ」と「レンビマ」併用療法の奏効率の高さは、肝細胞がんおよび腎細胞がんにおける本併用療法のポテンシャルの高さを裏付けるものです。本併用療法は Merck のがん臨床研究戦略における重要な柱の一つであり、幅広いがん腫およびそのステージによらず当該臨床試験を進めていきます」と述べています。

エーザイ株式会社の執行役 オンコロジービジネスグループ チーフメディスンクリエーションオフィサー兼チーフディスカバリーオフィサーである大和隆志博士は、「「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法では、複数の進行がんにおいて一貫したヒューマンエビデンスが獲得、蓄積されており、本併用療法による患者様貢献拡大への我々の熱意と信念がますます強固なものになっています。本併用療法の臨床試験を拡大・継続し、治療が難しいとされたがん患者様に、最先端のサイエンスに基づく有効な治療法を提供し続けていきます」と述べています。

1.切除不能肝細胞がん患者様を対象とした一次療法としてのレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法の臨床第Ⅰb 相試験結果(116/KEYNOTE-524 試験、ClinicalTrials.gov: NCT03006926)抄録番号:4519(バーチャルポスターディスカッション)

本試験は、切除不能な肝細胞がん患者様に対する非盲検、単群の臨床第Ⅰb 相試験です。今回の発表では、全身投与治療歴のない 100 人の患者様の最終解析結果が報告されます。「レンビマ」は体重によって 12 mg(60 ㎏以上)または 8 mg(60 ㎏未満)を 1 日 1 回経口投与し、「キイトルーダ」は 3 週ごと200 mg を静脈内投与しました。主要評価項目として、独立画像判定(Independent Imaging Review: IIR)に基づく腫瘍径の変化を効果判定に用いた従来の評価基準(RECIST1.1)、ならびに腫瘍壊死領域を効果判定に加えた評価基準(mRECIST)を用い、奏効率 (Objective Response Rate: ORR)と奏効期間(Duration Of Response: DOR)を評価しました。また、副次評価項目は無増悪生存期間(Progression Free Survival:PFS)、無増悪期間(Time To Progression: TTP)、全生存期間(Overall Survival: OS)でした。データカットオフ時点(2019 年 10 月 31 日)でのフォローアップ期間(中央値)は 10.6 カ月(95%信頼区間 CI: 9.2-11.5)でした。その時点で 37 人の患者様は投与を継続しており(両薬剤継続 34 人、レンビマのみ継続 3 人)、投与継続期間(中央値)は 7.9 カ月(範囲: 0.2 カ月~31.1 カ月)でした。

主要評価項目の最終解析の結果、RECIST1.1 に基づく独立画像判定では、ORR は 36%(95% CI:26.6-46.2)であり、そのうち完全奏効が 1%、部分奏効が 35%でした。また、DOR(中央値)は 12.6 カ月(95% CI: 6.9 カ月-NE(推定不能))でした。mRECIST に基づく独立画像判定では、ORR は 46%(95%CI: 36.0-56.3)であり、そのうち完全奏効が 11%、部分奏効が 35%でした。また、DOR(中央値)は 8.6 カ月(95% CI: 6.9 カ月-NE)でした。

治療関連の有害事象(Treatment-Related Adverse Events: TRAEs)により 6%の患者様で「レンビマ」と「キイトルーダ」の投与を中止しました。同様に 14%の患者様で「レンビマ」の投与を、10%の患者様で「キイトルーダ」の投与を中止しました。グレード 3 以上の有害事象は 67%(グレード 3: 63%、グレード 4:1%, グレード 5: 3%)の患者様で認められました。グレード 4 の有害事象(1 例)は白血球および好中球の減少でした。治療との関連が否定できない死亡が 3 例認められ、内訳は急性呼吸不全/急性呼吸窮迫症候群1例、腸管穿孔1例、肝機能異常1例でした。本併用療法の主な有害事象(20%以上)は、高血圧(36%)、下痢(35%)、疲労(30%)、食欲減退(28%)、甲状腺機能低下症(25%)、手掌足底発赤知覚不全症候群(23%)、体重減少(22%)、発声障害(21%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加(20%)、蛋白尿(20%)でした。

2. PD-1/PD-L1 免疫チェックポイント阻害剤治療後に増悪した転移性淡明細胞型腎細胞がん患者様を対象としたレンバチニブとペムブロリズマブ併用療法の臨床第II相試験 (111/KEYNOTE-146 試験, ClinicalTrials.gov: NCT02501096)抄録番号:5008 (バーチャル口頭発表)

111/KEYNOTE-146 試験は、特定の固形がんの患者様を対象とした「レンビマ」と「キイトルーダ」併用療法の安全性と有効性を評価する、非盲検、単群、バスケット型の臨床第Ⅰb/II相試験です。今回の発表では、本試験の臨床第II相試験パートにおける腎細胞がんコホートの最終解析結果であり、PD1/PD-L1 免疫チェックポイント阻害剤治療後に RECIST1.1 によって病勢進行と判定された後、少なくとも4 週間以上経過した転移性淡明細胞型腎細胞がん(mccRCC)の患者様 104 人を対象としています。許容できない有害事象または病勢進行が認められるまで「レンビマ」は 1 日 1 回 20 mg を経口投与し、「キイトルーダ」は 3 週ごと 200 mg を静脈内投与しました。主要評価項目は、腫瘍免疫療法の効果判定基準である immune-related RECIST (irRECIST)による 24 週時点の ORR(ORRweek24)としました。主な副次評価項目は、最大 35 サイクル(約 2 年間)の治療を通じた ORR、PFS、OS と、安全性および忍容性としました。

irRECIST を用いた治験医師による判定では、データカットオフ時点(2020 年 4 月 9 日)でのORRweek24 は 51%(95% CI: 41-61)でした。また、本試験を通じた ORR は 55% (95% CI: 45-65)であり、部分奏効(PR)が 55%、病勢安定(SD)が 36%、病勢進行(PD)が 5%、評価不能が 5%でした。また、DOR(中央値)は 12 カ月(95% CI: 9-18)であり、PFS(中央値)は 11.7 カ月(95% CI: 9.4-17.7)、12 カ月時点で死亡または病勢が進行していない患者様の割合(12-month PFS rate)は 45%(95% CI: 32-57)でした。OS の中央値には到達せず(95% CI: 16.7-NR(not reached))、12 カ月時点で生存している患者様の割合(12-month OS rate)は 77%(95% CI: 67-85)でした。

治験医師による RECIST1.1 を用いた判定では、ORR は 52%(95% CI: 42-62)であり、PR が 52%、SDが 38%、PD が 6%、評価不能が 5%でした。DOR(中央値)は 12 カ月(95% CI: 9-18)、PFS(中央値)は11.3 カ月(95% CI: 7.6-17.7)、12-month PFS rate は 44% (95% CI: 31-55)でした。

治療関連の有害事象により 15%の患者様で「レンビマ」と「キイトルーダ」の投与を中止しました。同様に 12%の患者様で「レンビマ」の投与を、12%の患者様で「キイトルーダ」の投与を中止しました(そのうち2%が蛋白尿)。治療関連の有害事象により 48%の患者様で減薬を必要としました。グレード 4 の有害事象が 4 例認められ、それぞれ、リパーゼの上昇1例、憩室炎 1 例、大腸穿孔1例、心筋梗塞 1 例でした。また、治療との関連が否定できない死亡が 2 例認められ、それぞれ上部消化管出血 1 例、突然死 1 例でした。高頻度に観察された有害事象(20%以上)は、疲労(53%)、下痢(46%)、タンパク尿(39%)、発声困難(35%)、高血圧(34%)、吐き気(32%)、口内炎(32%)、関節痛(29%)、食欲減退(28%)、手掌足底発赤知覚不全症候群(25%)、甲状腺機能低下症(23%)、頭痛(22%)でした。

本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.eisai.co.jp/news/2020/news202023.html

概要:エーザイ株式会社

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