NECファシリティーズ 産業廃棄物処理施設向け国内初となるホウ素排水処理技術を開発

TOKYO, Jan 21, 2022 - (JCN Newswire) - NECファシリティーズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:松下 裕、以下NECファシリティーズ)は、産業廃棄物処理施設(廃棄物埋立処分場)より発生する浸出水中に含まれるホウ素を安定的かつ効率的に除去する国内初(注1)となる技術を開発しました。

本技術はセルロース繊維を母体とした特殊な吸着材に、浸出水に含まれる阻害物質に対しても吸着効果を持続させる技術を加えたものです。産業廃棄物の埋立処分場に本技術を適用し、一年間にわたる実証運転で安定的な稼働と従来比1/6となる大幅な処理コストの削減を確認しました。

背景および特長

廃棄物埋立処分場における浸出水には廃棄物を構成する物質由来の多種多様な成分が含まれています。難処理物質であるホウ素もその一つであり、一般にホウ素の除去には樹脂(注2)を母体とした、粒状キレート吸着材が用いられています。

一方当社は、ホウ素の吸着速度や吸着量に優れた、微細なセルロース繊維を母材とする繊維状キレート吸着材を開発したキレスト株式会社と協力し、ランニングコストを大幅に低減できる大規模設備向けの装置を実用化しており(注3)、ホウ素を含有する排水処理に適用してまいりました(注4)。

しかしながら繊維状キレート吸着材は優れた特性を有する一方で、浸出水に代表される、カルシウム等の硬水成分や炭酸を高濃度含む排水の場合には、通水を阻害する物質が吸着材に析出し、水の流れを偏流させ長期的な運用が困難であるという問題がありました。

今般、当社はこの問題解決のため、阻害物質が繊維表面に析出した場合の対策技術を開発し、浸出水に特有の成分を高濃度に含む場合であっても長期の安定稼働が可能となる技術を確立したものです。

具体的には、徐々に吸着材表面に炭酸カルシウム等の物質が析出しつつあるタイミングにおいて、吸着材を傷つけない程度の撹拌により析出物を切り離すとともに、酸アルカリの通液により析出物を溶解させることで、ほぼ完全に析出物を除去する技術です。

今回、廃棄物埋立処分場に当技術を導入することにより、優れた吸着除去能力を長期間保持できることが実証され、浸出水中のホウ素を安定的に処理することが可能となりました。また、高い吸着除去能力の維持は繊維状キレート吸着材が持つランニングコスト低減という本来の優れた特性を活かすことにつながり、吸着材の再生形態をオンサイト型(注5)とすることと相まり、今般の一年間の実証運転では従来の1/6となるランニングコストの低減を実現しています。

今後の展開

NECファシリティーズはお客様工場のライフサイクルマネジメント(Factory life cycle management)にTotal IFM(注6)で貢献し、総合的な課題解決を提供しています。

今回、廃棄物埋立処分場向けに繊維状キレート吸着材を用いたホウ素除去技術の開発に成功。実施設へ導入し、優れた運用性能とコストメリットを実証しました。これらの阻害物質は、浸出水以外にも温泉排水、地熱水、ごみ焼却場洗煙排水に多く含まれるため、今後これらの排水処理への適用拡大が期待されます。今後、こうしたお客様施設への設備導入により、本技術による事業を今後5年間で売上20億円を目指すとともに、お客様施設および周辺への環境保全リスクの軽減並びにSDGsの実現に貢献してまいります。

本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.necf.jp/information/202201nk1.html

概要:日本電気株式会社(NEC)

詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。


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